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リモートワークと企業文化の維持~アポロ宇宙船基地のトイレ清掃員の目的意識と通ずるところ


先月は、意識改革について日系企業のお客様の動きについて書きましたが、先日TrainingMagというウエビナー研修を毎日実施している米国の大手研修会社のウェビナーで”Company Culture for Virtual Workplace”という講演がありました。


米国でも、リモートワーク下での意識改革、並びに企業文化の維持、企業文化の発露の難しさ、また企業文化をリモートワークに合わせるにはどうしたらいいか、などの疑問が上がってきているのだそうです。


講師のJill Christensenは、リモート下での組織文化の定着、維持について、1970年代のアポロ宇宙船を製造している現場での話を持ち出しました。そこでは、すべての従業員が高い目的意識の元に働いており、トイレの清掃係までが『自分はトイレを掃除しているのではない、人類が月に立つことを助けているんだ』と言うほど目的意識が強かったのだそうです。そこまで目的意識が共有されていれば組織内ではおのずとベクトルが合い、それが渦を巻くように強いモチベーションとなって、あらゆる社員のあらゆるタスクに強い良い影響を与えているはずです。でもリモート環境では、どの様にしたらそのような強いビジョンの共有ができるのでしょうか。


Christensenは「コミュニケーションを心がけることのみ」と言います。経営陣がコミュニケーションを取ることを心から大事だと思い、リモートワークになって自然とできてしまった壁を取るような努力を、日常の仕事としていつも心がけること、と言っています。そのリモート下で、企業文化を伝え、維持するためのコミュニケーションのリストは次のようになります。

  • ビデオと音声の選択肢があったら、必ずビデオを選ぶこと。当然ながら全員にビデオをオンにしてもらう事。そして、最新のテクノロジーを積極的に使っていくこと。現在は20人がスクリーンシェアを行えるテクノロジーなども出ているそうです。そして機会があるごとに、その企業らしさや文化をみんなに発信します。

  • チームハドルと言われる、チームの一体感とモチベーションを上げるためのモーニングミーティングを持つこと。トップはできるだけ社員と話したり、一緒にいる時間を作って、企業の文化を保つ努力をすること。

  • One on One:チームだけではなく、一人一人とコミュニケーションする時間を持つこと

  • リーダーQ&Aセッション:経営陣に気軽に質問できる時間を設ける。組織の方向性が保たれるうえ、経営陣も社員が考えていることをよく理解できる。

  • スタッフミーティングのリーダーを持ち回りにする:同じ人がいつも司会をするのではなく、違う人が違うやり方、違う視点からミーティングを行うことで、リモートワークにおいても組織内の風通しを向上させる結果となる。

  • Email box for ideas:メールで意見箱にアイデアをドロップする。

  • フォーカスグループ:経営陣が社員に対して、会社はどういう文化を持っているか、どの様な方向性を望んでいるかなど、社員から意見を聴く。


ここまでやるのか、というほど盛りだくさんのコミュニケーションのメニューです。こんなことばかりしていたら、仕事が出来ない、と思いませんでしたか?


Christensenは、これらを経営陣が日常の仕事に組み入れるという発想の転換こそ、企業文化の維持、発露につながると強調しました。何事も、トップが手を付けなければ変化は期待できません。


リモートワークで通勤時間が減った分だけ、経営陣こそがコミュニケーションの量と質を心掛けること。コミュニケーションを支えるテクノロジーの進化には特に敏感になること。そして、経営陣こそが企業文化と会話を重視している姿勢を積極的に、機会あるごとに示していくこと。これらがリモートワーク下においても、健全な組織文化が維持され、醸成される条件となります。

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